市議会の現実 宝塚市の場合

 9月の定例議会も終わり、来年の4月に行なわれる選挙が目前に迫ってきたが、ほとんどの市民は、リアルな市議会の実態が何もわかっていないと思う。実は私も、3年前に市議会議員に当選するまではそんな一市民であったので、議員になってびっくりしたことは多い。そこで、そんな市議会のリアリティーを、宝塚市の場合について記してみたいと思う。

 まず国会のように与党・野党の真剣な対立がほとんどない。95%以上の議案は議員全員の賛成で可決するが、考えてみれば当然のことである。そもそも市が仕事としてやるべきことは、ほとんどが国の法律、または国会の議決で決まっている。市が自由に決められることは、そのスキ間のわずかの部分しかない。それも行政の各担当部局が妥当と考えることを議案として議会に提出してくれば、議員はそれに反対する理由などほとんどない。従って、地方議員というものは、市長もそうであるが、誰がなってもそんなに大きなちがいはなく、このことが地方議会不要論の根拠ともなる。

 それだからというわけでもないだろうが、議員は全員、普通の会社でもあり得ないほど仲が良い。国会議員ではあり得ないことだと思うが、休憩中は政党の垣根を越えて冗談に花が咲くし、視察ともなれば夜の会食は大いに盛り上がる。たまの機会にそうすることは必要でもあろうが、お互いに真剣に議論するためには節度が必要であると思う。プロ野球の選手でも、お互いの闘志を維持するために、また観客をシラけさせないために、他のチームの選手と親しくすることはよくない、とされているのである。

 そしてこれが一番大切なことであるが、地方レベルにおける政党は、国政レベルにおける政党とは性格が大きく異なっていることである。その一番極端な例が立憲民主党ではないか。同党は国政レベルでは、保守系から革新系までそろってバランスが保たれているが、地方ではそういうわけにはいかない。宝塚では、ベテラン議員がつねに社民党、共産党と行動を共にしようとするから、私は離党せざるを得なかった。また公明党は、どこの市においても、保革を問わずときの政権市長と政策協定を結ぶようで、原則として常に市長支持である。従って宝塚では、立民、社民、共産が市長支持、公明党がキャスティングボードを握り、たまに採否がわかれる議案があってもギリギリ可決される。

 他の政党はどうか。共産党や社民党が国政レベルと一枚岩であるのは言うまでもないだろう。彼らの市議会での質問や意見の多くは党本部からの指示に基づき、全国的に同じと思われる。維新も保守系の政党ながら、党本部からの拘束が厳しいように見受けられる。自民党議員について述べるならば、彼らの自立性は大きいようであるが、そのぶん、地元支持者、推薦団体の意向・陳情を最優先して行動している。結局のところ、政党の支配を受けず、特定の支持者や団体にも拘束されず、市民全体のために、自分で考えて行動できる政治家は誰なのか。少々飛躍するが、それは無所属の議員でしかありえないと私は思う。

宝塚市議会 演壇上筆者