安倍元総理に大勲位?
安倍元総理に大勲位菊花大綬章という勲章が授与されることが決まった。大勲位菊花大綬章とは最高位の勲章で、歴代総理大臣の中でも吉田茂、佐藤栄作、中曽根康弘の3人しか授与された者はいないということである。この3人の功績ならば、私も直ちに挙げることができる。吉田茂=サンフランシスコ平和条約、佐藤栄作=非核三原則と沖縄返還、中曽根康弘=国鉄など3公社の民営化、である。佐藤栄作の非核三原則については、「国内に核は持ち込ませない」の点で、国民に重大なウソをつき続けた上、そのウソでノーベル平和賞までもらったと批判されるが、やむを得なかったと思う。
ひるがえって安倍元総理の功績はどうか。安倍元総理がなくなってから、多くの政治家、評論家が「日本のために尽力された」と賞賛した。一般市民も「やさしい人でした」などと感想を述べた。アメリカの国務長官までが来日して、安倍元総理の「勇気とリーダーシップ」を讃えた。しかし、これらは全てお悔やみのことばであって、本当のところはどうなのか。最高位の勲章を授与されるとなると、もう美辞麗句を並べるのはやめて、きちんと功罪を明らかにしておかなければならない。
私は遺憾ながら、安倍総理の功績など何一つとして思い浮かべることができない。強いてあげるとするならば、歴代最長の保守政権を維持したという点であろうか。この点では、大勲位を授与された他の3人の元総理とも共通している。しかし、長期政権を維持できたかどうかは結果であって、本人の努力や才能とはあまり関係がない。特に安倍総理の場合、安倍一強といわれ、その在任中に自民党に対抗できるような野党がなく、自民党の中にも総裁にモノ申すような政治家は誰もいなかった。私は、安倍総理の在任中ずっと、「誰か一人ぐらい、アベ総理を引きずりおろすような根性のあるヤツはいないのか」と期待していたが、安倍政権の最後は、総理が自分で政権を投げ出すという形で結末を迎えた。
安倍元総理が責任を負うべき「罪」については、改めて書くまでもないと思うが、私なりに簡単にまとめておきたい。①経済=アベノミクスを続けた結果、政府は無制限に国債を発行し、日銀はそれを買い支えることしかできなくなった。日銀はまともな金融政策を行なうこともできず、もはや完全に壊れてしまったというしかない。②外交=ロシアのプーチン大統領と何十回も首脳交渉を繰り返したが、いいようにあしらわれただけで、何の成果もあげられなかった。アメリカのトランプ大統領には、その就任前から挨拶にうかがい、ゴルフクラブなどをプレゼントした。国辱ものの外交というしかない。③国会=モリカケ問題などでウソの答弁を繰り返しただけでなく、いわゆるゴハン問答など幼稚な答弁を行ない、見ている国民をあきれさせた。安倍元総理のことを「政界のサラブレッド」という人もいるが、私は「ウソツキのおぼっちゃま」というしかないと思っている。