痛恨の事務処理ミス

山口県で町の職員のミスにより、4600万円もの大金が一市民の口座に入金されてしまい、その市民が返金を拒んでいる、という事件が発生したらしい。このような事件では、役所の管理体制だけでなく、直接ミスをした職員も責任を追及されると思うが、気の毒という気がしてならない。チェックぐらいしなかったのか、という人もいるが、大金を送金するのに何もチェックせず、送金ボタンをポンと押してしまうような人はいないだろう。電子データだけでよいのに、念のために紙データも作成して銀行に渡したところ、銀行側が想定外の取り扱いをしてしまった、ということが真相のようである。

実は私もサラリーマン時代、会社のカネの送金にからんで痛恨のミスをしてしまったことがある。非上場の小さな会社に勤務していたときであるが、私は総務担当者として、社員の給与計算・支払いの事務も担当していた。会社は、社員に毎月の給与や賞与を支払う際には、社員が納めるべき所得税を給与天引きして預かり(源泉所得税)、期日までに税務署に納付する義務がある。ところがあるとき、私はこの源泉所得税の納付を忘れてしまったのである。慌てて期日遅れで納付したものの、それから間もなくして国税局から、「延滞税○○万円、加算税○○万円を納付せよ」との命令が来たことは言うまでもない。

経理担当の常務(社長の奥さん)はすんなり、延滞税、加算税の納付に応じてくれた。しかし、その次のボーナスでは、私に対するボーナス支給額はなんとゼロ円であった。それなりに会社に貢献していたつもりなので、これには腹がたち、私は労働基準監督暑に行って「こんなことが許されるのか」と相談した。そのとき若いカントク官に言われたことは、「世の中にはボーナスなどもらえない人は大勢いる。もし、ちゃんと仕事をしているのに給料をもらえない、というようなことがあったら、そのときあらためて相談に来てほしい。」ということであった。ごもっともである。どんな大会社でも同じであるが、就業規則・賃金規則などをよく見ると「賞与を支給することがある」とは書いてあるが、必ず支給されるものではないのである。