共産党も現実路線?

 4/26放送されたフジテレビのプライムニュースは見応えがあった。自民党の小野寺五典氏(元防衛大臣)と共産党の小池晃氏との間で、安全保障問題についてかなり激しい議論があった。しかし、激しい議論の中にも険悪なムードはなく、小池氏が「ちがいます、ちがいます!私にもしゃべらせてくださいよ。」と言った場面では、笑ってしまった。

 共産党は党の基本方針として、憲法9条の改正を断固阻止し、日米安全保障条約と自衛隊は憲法違反であるとして、廃止するべきであると主張してきた。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻という現実の前に、この主張は完全に説得力を失ったように思われる。今や、アメリカという頼れる同盟国もなく、自衛隊という必要最小限の防衛力もなくして、憲法9条さえ守っていれば外国に侵略される恐れはない、などと考える素朴な人は誰もいない。

 この厳しい現実の前に、共産党もこれ迄の路線を修正しようとしているのではないか。特に小池氏の発言の中では「憲法9条さえ守っていれば日本は安全であると言ったことなど一度もない。」「安全保障条約や自衛隊を今すぐなくせばいいなどとは思っていない。そんなものがなくても日本の安全を守ることができる・・そういう時代になってからなくせばいいのだ。」と発言したことが注目される。これでは小野寺氏に「共産党が安全保障条約や自衛隊が憲法違反というのは矛盾している。共産党は憲法違反を容認する違憲政党だ」と言われてもやむを得ないだろう。

 共産党の「安保条約・自衛隊を廃棄せよ」との主張は、アメリカの自由主義=悪、ロシア・中国・北朝鮮などの共産主義=善であることを前提とするもので、今や完全にまちがっている。そもそも共産主義国家などが理想の国ではないことはとっくの昔から明らかだ。ただ、共産党はゆるぎなき政党であり、そのメンバーはよほど信念のしっかりしたひたむきな人々であると思う。タレント議員や世襲議員が跋扈する日本の政界のなかで、これからも一定の存在感を発揮していただきたい、と思う。

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