常任委員会と本会議

 地方議会の議員は通常、各自の関心もしくは得意分野に応じて、総務、教育、産業などの常任委員会に所属している。そして、議会によっては、議員は自分が所属する委員会の所轄案件について本会議で質問をしてはならない、というルールを定めているところがあるらしい。宝塚のすぐ隣の猪名川町議会でもそういうルールがあったらしいが、最近になってそれが撤廃されたと聞く。まことに重要かつ正しい決定であると思う。

 宝塚市議会でも、「自分が所属する委員会で審議されたことについて、本会議で質問をしてはならない」ということが、議会のルールだと信じている議員が一定数存在する。実際私は、かつて所属していた会派で、2人の先輩議員(女性)から、このルールを根拠として本会議での「一般質問」の内容を変更するように要請されたことがあったが、議会事務局や他会派の有力議員に尋ねた上で「宝塚市議会にそんなルールはない」ということを確信したので、予定通りに質問を強行した。しかし、このときに生まれた相互不信感が、後に私がその会派を離脱する原因になった。

 そんなルールがあるとすれば、議員は自分が最も関心のある問題について、肝心の本会議で質問することができなくなってしまう。まさに本会議の存在意義を損ねるようなルールだと思うが、このルールを支持する人は「委員会で審議したことを、本会議でムシ返しても時間のムダになるだけ」と言う。「質問」が、単純に当局の説明・回答を求めるだけのものなら確かにその通りであろうが、委員会での審議内容を踏まえ、それとは異なる角度から本会議で質問を行なうことは、委員会での審議内容を深める意味がある。

 さらに、本会議での「一般質問」は、議員にとっては単なる質問の場ではなく、大勢の市民、職員、市長に向かって自分の意見を述べる貴重なヒノキ舞台である。せっかくのヒノキ舞台で、議員が自分の一番関心のある問題について、思い切り意見を述べることができなくては、「一般質問」をする意味が半減してしまう。本会議で意見を述べる場としては、「一般質問」のほかに「討論」もあるというが、「討論」は、あくまでも委員会で審議された議案について、賛成もしくは反対を表明した上でその理由を述べる場である。それと異なり「一般質問」は、議員が自分の関心のある問題について何でも自由に意見を述べることができる場であり、そのことは最大限に尊重されるべきであると思う。

産業建設委員会にて 2019年

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